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HIROSHI FUJIWARA

HIROSHI FUJIWARA fragment design

Hiroshi Fujiwara フラグメントデザイン

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Hiroshi Fujiwara (フラグメントデザイン)

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1)「クリエイティブのルーツとプロセス」藤原ヒロシ

Profile藤原ヒロシ
ファッションデザイナー / ミュージシャン / fragment design主宰
1964年生まれ、三重県出身。10代でDJ活動を始め、日本におけるクラブDJの先駆けとなる。’85年には盟友、高木完とタイニー・パンクスを結成し、翌年にレーベル、メジャー・フォースへ参加。現在に至るまで、多数のアーティストの作品のプロデュースも手掛けてきた。カルチャー、ファッション面でも絶大な影響力を誇り、主宰するfragment designや自身が関わる様々なコラボレーションは毎回世界規模での注目を集めている。

ー INTERVIEW ー

「クリエイティブのルーツとプロセス」
―― 60年の先に見えた、変わり続ける自分と揺るがない軸

/ 前編

「変わりゆく街で、変わらない哲学を」

──藤原ヒロシが語る
リアルとクリエイションの現在地

Processed with VSCO with ka1 preset

Interview By Teppei Ikeda / Yuichiro Nomoto (Director

Photography By Kenta Karima

東京・表参道。
2002年から20年間、街の風景とともに人々の記憶に刻まれてきたカフェ「モントーク」が閉店して2年。その建物は静かに時を重ね、2024年12月、カフェとショップが共存する新たなコンセプトストア「V.A.」として生まれ変わった。

その空間には、藤原ヒロシの“変わらない哲学”がさりげなく、しかし確かに息づいている。

「記憶に残る場所は、意図して創れるものではない。」

流行を追うのではなく、無理に意味づけをしない。彼が大切にしているのは、“自然とそこにあること”。リアルな場所が持つ唯一無二の価値、プロジェクトへの飾らない向き合い方、そして制約すらも楽しむクリエイションの姿勢 ──。

数々のコラボレーションやプロジェクトの裏側から浮かび上がるのは、移ろいやすい時代の中で決して揺るがない「本質」だった。

「変わること」と「変わらないこと」の狭間で、藤原ヒロシが今、語るべき言葉とは何か。

V.A.オープンを機に紡がれた、その思考の断片を辿るインタビュー。

計算しないからこそ生まれる
“記憶に残る場所”のつくり方

――「VA」がオープンして1ヶ月ほど経ちましたが、実際の反響や、今後どのような展開をお考えですか?

正直なところ、僕自身はお店に行けていないので、直接的な反響はあまり実感できていないんです。それに、あえて「どうだったか」を詳しく聞かないようにしています。僕はプロジェクトが始まった後は、あまり状況を追いかけないタイプなんですよね。

でも、メディアを通じて初日の売り上げが良かったとか、反響があったという話は耳にしています。自分が関わったものが人々に受け入れられていると聞くのは嬉しいことですが、基本的には「今後どんなことができるか」に意識が向いています。アイデアや方向性については、定期的にチームと話し合いながら進めています。

――「VA」の準備期間はどのくらいでしたか? また、商品やコンセプト創りはどのように進めたのでしょう?

準備はおおよそ1年前からスタートしました。とはいえ、僕は「コンセプトを提示する」だけで、実際に動くのはチームの皆さんです。

最初のステップはコンセプト創りですね。これがしっかりしていれば、その後の内装や商品開発、メンバー選定は自然と進んでいきます。会議も、堅苦しいものではなく、ちょっとお茶をしながらアイデアを出し合うような感じです。

みんな優秀なメンバーばかりなので、「こういう方向で行こう」と話すと、そこから各自が動いて形にしてくれるんですよ。

――コロナ禍を含め、社会的な変化はプロジェクトに影響しましたか?

確かに影響はありましたね。たとえば、数年前に閉めたザ・コンビニは、東京オリンピックを見据えてインバウンド需要向けに創ったお土産屋だったんです。でも、オリンピックが延期になり、最終的には閉店することに。

この出来事は、リアルな店舗ビジネスがいかに外部要因に左右されるかを強く実感する経験になりました。世界情勢や社会の変化は避けられないものですが、逆にそうした不確実性があるからこそ、リアル店舗には特別な価値が生まれるのだと思います。

――リアル店舗の価値について、特に意識していることはありますか?

リアル店舗の最大の価値は「記憶に残る場所」であることだと思っています。数年後、数十年後に誰かと話しているとき、「あの店に行ったことあるよ」とか「昔、青山にこんなお店があったよね」と思い出話ができる。これって、オンラインではなかなか得られない体験ですよね。

ネット上の情報は便利だけど、生活の一部として流れてしまう。でも、リアルな場は、人生のどこかのタイミングで通り過ぎた「出来事」として記憶に刻まれるんです。

例えば、2020年には「当時こんな店があった」と話題にされるかもしれないし、今の若い世代が大人になった時、「あそこで並んだよね」とか「一度行ったことがある」と語り合える。そんな風に、店舗そのものが人々の記憶の中に生き続ける。それがリアル店舗の特別な価値だと思っています。

――「記憶に残るもの」を意図的に創るのは難しいことですか?

そうですね。実は「記憶に残るものを創ろう」と意図すると、かえってそうならないんですよ。懐かしさや記憶に残るものって、計算して創るものではなくて、自然と生まれるものなんです。

だから僕自身、何かを創るときはあまり「狙って」やることはしないですね。プロジェクトも、商品のアイデアも、自然に生まれてきたものが一番強いと感じています。

――このお店について、今後ポップアップなどの展開はありますか?

今後の展開については、チームが色々と動いてくれていると思いますが、僕自身が深く関わる予定はあまりありません。このお店における僕の役割は、最初のコンセプトづくりや発信の部分がメインで、あとは自然な流れに任せています。

商品については、新しいアイテムが出る可能性もあるので、それは楽しみにしてもらえたらと思います。

――そのようなプロジェクトは、どのくらい前から話が進むものなんですか?

大体、1年前くらいから話が来ることが多いですね。ただ、今回のガンダムプロジェクトは特別で、もう少し短い期間で急速に進んだ印象があります。プロジェクトの規模や内容によって、動き出すタイミングはさまざまですね。

「30件のプロジェクトが同時進行」──藤原ヒロシが語る
クリエイションの舞台裏

――年間に平均30件程のプロジェクトに携わっていると知り、驚きました。その数について、どう感じていますか?

そうですね。でも僕にとっては、それがすべてなんです。逆に言うと、それ以外には特に何もしていない感じですね。多いとは思わないですよ。デザイナーやブランドが扱う膨大なアイテム数に比べれば、むしろ少ないかもしれません。

――プロジェクトによって進行スピードは異なると思いますが、最も短い期間で形になるものはどのくらいですか?

最短で3週間くらいですね。でも、それらを「コラボ」と呼ぶかどうかは微妙です。僕自身、特に「コラボレーションをしている」という意識はあまりなくて、自然と生まれているものが多いです。

――逆に、バートンやルイ・ヴィトンのような大規模プロジェクトの場合は?

それは2〜3年かかることもあります。バートンの場合は製品のテストも必要ですし、シーズンごとのスケジュールに合わせなければならないので、長期的な準備が必要です。

――これだけ多くのプロジェクトを同時進行していると、煮詰まることはありませんか?

実は、あまり「煮詰まる」という感覚はないんですよ。もし何かに行き詰まったら、一旦そのプロジェクトから離れて、別のことに取り組みます。飽きてしまうことはありますが、だからこそ意図的に距離を取ることで新鮮さを保っています。

――多忙な中で、どのプロジェクトを引き受けるかはどのように決めていますか?

シンプルに「できないと思うことは引き受けない」です。最初の段階で「これは無理だな」と感じたら、断るようにしています。逆に「できそう」と思えるものだけを受けるから、無理が生じることも少ないです。

――ルイ・ヴィトンのプロジェクトについても伺いたいのですが、制作の過程はどのように進んだのでしょう?

2016年のプロジェクトですね。正直、あまり細かいことは覚えていないですが(笑)、僕が全面的にアイデアを出すというよりは、ブランド側が用意した枠組みの中で、自分のテイストを加える感覚でした。ラグジュアリーブランドは最初から「これを創る」と決まっていることが多いんですよ。

――その「決められた枠」の中で制作することに、ストレスを感じることはありますか?

全くないです。むしろ、制約があった方が面白いんですよ。その枠の中でどう遊ぶか、どう自分らしさを出すかを考えるのが好きなんです。

――プロジェクトごとにチームが異なることもあると思いますが、どのようにメンバーを選んでいるのでしょうか?

最初から「このプロジェクトはこの人に任せよう」と決めて進めることが多いです。僕が全部やるわけではなく、信頼できる仲間に任せることで、より良いものが生まれています。おかげで、制作に行き詰まることも少なくなりました。

――他にヒロシさんにとって印象深いコラボレーションはありますか?

正直、僕にとっては全てがコラボレーションです。それぞれに印象深い部分がありますが、その中でも特に印象に残っているのはモンクレールとのコラボレーションですね。

やはり、長く続いているということが一番大きいです。モンクレールのチームと一緒にやる中で、自然と良い関係が築けています。その「チーム感」がとても印象的です。

――長く続いているからこその積み上げがあるのでしょうか?

積み上げというよりは、コラボレーションを通じて「チームができる」という感覚があるのが大きいですね。その過程が印象深いです。

モンクレールで一緒に仕事をした人の中には、辞めた後も連絡を取っている人がいます。そのような人間関係は続いていますね。

――今後、発表予定のプロジェクトについて教えてください。

具体的にはまだお話できませんが、ガンダムの45周年プロジェクトなど、いくつか進行中のものがあります。発表できるタイミングが来たら、面白いものをお見せできると思います。

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