Crew SIW SHIBUYA Talk Session Ukawa / Kawata / Saito
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物理空間を超えて乱反射する都市風景 / SIW
横丁ならぬ“縦丁”化?
リアルとバーチャルが包摂する、新しい渋谷が目指す風景
宇川直宏/川田十夢/齋藤精一
物理空間を超えて乱反射する都市風景
11月11日(水)14:00-15:00
@オンライン配信
<スピーカー>
現在美術家、DOMMUNE主宰 宇川直宏
開発者、AR三兄弟 川田十夢
パノラマティクス主宰 齋藤精一
劇場やライブ会場、オフィスひいては都市空間まで——コロナショックによりリアルな空間で“機能障害”が起こっている昨今。一方、「ミラーワールド」と呼ばれる、現実世界を映し鏡のようにデジタル再現したバーチャル空間がその受け皿として、ますます活用されるようになっています。
現実と虚、リアルな渋谷とバーチャルな渋谷。それを行き来しながら、どうやって都市機能を再生し、あるいは新しい文化都市へと変身できるのか。
このセッションは、10年以上前からライブストリーミングチャンネル「DOMMUNE」を運営してきた宇川さん、同様にいち早くAR(拡張現実)を、劇場からプラネタリウム、百貨店までさまざまな空間に実装してきた「AR兄弟」の川田さん、そして、ファシリテーターに、元ライゾマティクスで、現パノラマティクス主宰の齋藤さんを迎え、進められました。
中心的なトピックになったのは、渋谷のミラーワールド「バーチャル渋谷」。そこで10月に開かれたハロウィンイベントでは、KEN ISHIIさんに加え、ドイツのエレン・エイリアン、英国のサージョン、ロシアのダーシャ・ラッシュがアバターになり、パフォーマンスを披露しました。
「これは、データファイルの再生ではなく、リアルタイムでアバターが演じ直している。オーディエンスと交流できる。エレンはステージから降りて、観客と握手したり、最後には、ハチ公の方に走っていった(笑)」と宇川さん。
川田さんは「(逆に今リアルでは)ルールでガチガチになっている。現実ではできないことを、拡張現実で実現するのが今」また「デジタル内で見た渋谷に、もう一度(今度はリアルで)行ってみたいという気持ちが、きっとあとで起こる。
デジタルでみた“影”を見にいく感じ」とも話します。斎藤さんが提言したのは「物理空間は、どうしても動きが遅い。それがバーチャルで一気に変わったとき、物理空間にフィードバックする方法も考えたい」。
こうした物理空間でできないことを別の形で実践しようとする実験は、今に始まったことではないとも指摘します。たとえば、50年代に起こった「エキゾチカ」と呼ばれる音楽のムーブメント。「マーティン・デニーなどがやった音楽。ハワイに行けなかった時代、実際にハワイに行っていないのに、ハワイを感じさせる音を作る。今求められているのは、エキゾチカのようなものに似ている」。
エキゾチカの現実と虚構の妙。またバーチャル渋谷での仮想と現実が“地続き”になっているような面白さは、元ネタを共有できることにあると3人は言います。
「コロッケが美川憲一のモノマネをするみたいに。その意味で、渋谷のスクランブル交差点は、世界一有名な交差点。ドラえもん並みにポピュラリティーを得ている」と宇川さん。その上で、渋谷の目指すべき姿についても議論を重ねていきました。
カルチャーが育まれたのは、そこがカオティックな場所だったから。それをバーチャルでどうコンテンツ化して、リアルにフィードバックできるのかーー。宇川さんが提案したのは、フラットな横丁ならぬ“縦丁”化。曰く「ベルリンだったり、ロシアだったり、エレベーターが開くたびに違う世界があるような」。
90年代に世界中のレコードが集まり、サンプリングカルチャーの重要都市だった渋谷のカオティックな風景と繋げて、そう話します。「そうやってカルチャーを沈殿させる場を、バーチャルでも作っていかないといけない」。
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