Crew Media Artist Daito Manabe
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Daito Manabe
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トライアル&エラーの積み重ねがこれからの表現を創る(後編)
INTERVIEW
何故、トップクリエーターになれたのか?
Photography By Yuichiro Nomoto
Text By Ryo Ishii
Direction By PROJECT ONE
Tie-Up with yuhaku
Rhizomatiks主宰 真鍋大度氏
プロの仕事術 と 日々の愛用品 /
(後編
「トライアル&エラーの積み重ねが、
これからの表現を創る」
Rhizomatiks主宰 真鍋大度氏
Index
前編
・数学好きの秀才が、HIPHOPの虜に
・大学時代に出会った1冊の本に感化される
・フックとなる“点”を作り続けることの大切さ
後編
・常に研究開発を行い、アイデアを蓄積する
・コロナ禍で見えた、
加速するメディアアートの未来
・真鍋氏の愛用品 10選
常に研究開発を行い、アイデアを蓄積する
そこからの真鍋さんの活躍は冒頭でご紹介した通りだが、今も昔も、クリエイションのプロセスは大きくは変わっていない。とにかく実験を重ね、模索し続けること。それに加えて、歴史的な背景などのリサーチにもかなりの時間を割いているという。
「アートにおいては、新しいものを発明することだけでなく、今までの歴史や文脈の中で自分の作品がどこに位置づけられるのか、ということが大切。例えばライゾマがイレブンプレイとやっているパフォーマンス作品は20世紀前半のバウハウスの芸術家、オスカー・シュレンマーがやっていた舞台芸術の現代版みたいなイメージなのですが、そういうことを知った上でやるのと、知らずに『自分がこんなに面白いことを思いついた!』とやるのとでは、作品の意味も変わってきますよね。なんというか、ヒップホップで元ネタのジャズを探すのに近い感覚なんですよ」
重要なのは、そうしたリサーチを含めた日々の研究開発を怠らず、YouTubeに実験動画をアップし続けてきたのと同じように、アイデアを蓄積していくことだ。
「自分の作品であれば納得いくまで突き詰められますが、広告やアーティストとのコラボレーションは製作期間が限られているので、依頼が来てから考え始めるのでは遅い。しかし、案件の内容に合わせて相応しいアイデアをチョイスする形であれば、スピーディかつ最大限の効果を発揮できます。だからライゾマティクスではクライアントベースの仕事とは別軸で、常に研究開発を行っているんです」
当然ながら、ボツになるアイデアもたくさんある。
「アート、エンタメ、広告、どの領域においてもそうですが、ボツネタは数え切れないほどありますし、昔の実験とかを見ていても、上手くいわけないだろうというものもたくさんありました(笑)。特にアーティストとのコラボレーションは難しくて、プロトタイプを作って何度も検討したけどお蔵入り、みたいなこともあります。しかし、どんなものでも実験の過程がないと作品は良くなっていかないし、クリエイションの精度も上がっていかないので、まず実装してみてトライアル&エラーを積み重ねていくことは、とても重要な要素です」
コロナ禍で見えた、加速するメディアアートの未来
最近では、そんなスタンスが改めて評価される出来事があった。東京都現代美術館で現在開催中(〜2021年6月20日)の展覧会『ライゾマティクス_マルティプレックス』が決まったことだ。メディアアートを現代美術館で展示するというのは、実はアート業界としては、かなり異例のこと。
「というのも、メディアアートと現代アートって、近しいようでいて別物なんです。東京都現代美術館で展示できる事になったのは僕らの活動の形態が、新しいアーティストの形だというキュレーターが考えてくれたからなんですよね」
その背景には、新しく生まれるアートに占めるテクノロジーの割合が急速に拡大しており、もはや現代アートとしても無視できなくなっている、という現状がある。
「例えばバーチャルミュージアムやクリプトアートって、今までメディアアーティストたちは面白いと思って取り組んできましたけれど、現代美術、現代アートの人々にとっては別になくても良かったですよね。でもコロナ禍になったことで、もはやそれがないと作品を展示できないような状況になってしまいました。こうなってくるとテクノロジーの力を使わないと未来が切り開けないどころか、現状に対応出来ないのは明らかです」
ライゾマティクス設立から15年間に渡り、様々な領域を横断しながら試行錯誤を繰り返してきた真鍋さんにとって、この1年間は急速な変化を感じる年だったと振り返る。コロナ禍によって、さらに注目を集める存在となったアーティストたち。その最先端を走る真鍋さんは、今後も様々なアイデアで楽しませてくれることだろう。最後に、今後の活動について伺った。
「やっと展覧会がオープンしたばかりなので、これが落ち着いたら深呼吸して次に備える期間にしたいというのが本音なのですが……(笑)、コロナ禍でアイデアをどんどん実装していくことの大切さを改めて感じているところでもあります。今後は長期のプロジェクトも控えているので、より一層、腰を据えてやっていきたいですね」
Column
日々を彩るプロフェッショナルの愛用品
プロフェッショナルたちが普段持ち歩いている必需品や仕事道具を見せていただきながら、モノに対するこだわりを紐解く。
「基本的には裏方仕事なので、服や小物は自然と黒を選ぶことが多いですね」と真鍋さん。特に光を使った演出などを行う場合、白やカラフルな色は、時として作品の邪魔になってしまうことも。慣習として黒を選ぶ人が多いのは確かだ。しかし少し視野を広げてみると愛用品は実に多彩だ。
AppleのAirPods Pro
「音楽を聴くヘッドホンは別にあるので、これはラジオやオンライン会議をする時に使用しています」というのがAirPods Pro。ノイズキャンセリング機能付きなので、もともと世界中を飛び回る真鍋さんには欠かせないツールの一つだ。
VICTORINOXの十徳
「家にいるときにはもちろん、現場でダンボールを開ける時など、日常の中で意外とあると役に立つんです。直近はコロナ禍で飛行機に乗ることもないので、自分用として愛用しています」
AppleのiPad Pro
様々なプロフェッショナルたちを支えるiPad Pro。中でも真鍋さんは画面サイズの大きな12インチを愛用している。「アイデアをスケッチするとき、動画を確認するとき、さらに舞台装置などのコントローラーとしても使える。何でもできますね」という通り、様々なシーンで活用している。
audio-technicaのATH-AWAS
ハウジングに高品質なアサダ桜を使い、クリアな音場を再現しながら、温かみのある音色を奏でるロングセラーのヘッドホン。「父親がジャズベーシストであることもあり、昔からベースを中心に音楽を聴く癖があるんです。だからベースの音が綺麗に聞こえるコレを選びました」
Oura Ring
指輪型の体調管理ガジェットとして話題のオーラリングは、真鍋さんらしく黒をチョイス。「Apple Watchでも睡眠や心拍数の変化を記録できるのですが、充電するのを忘れてバッテリーを切らしてしまうこともあるので……。これは5日間くらいは付けっぱなしでも大丈夫ですし、記録できる数値も正確です」
AppleのApple Watch
「デザインだけでなく、自分で好きな機能を開発できる時計として使っています」というように、自ら開発したアプリをインストールすることで、Apple Watchをより便利に使えるようにカスタムしているという。なんとも真鍋さんらしい使い方だ。
sacai×POLAROIDのSX-70
1972年に発売され、アンディ・ウォーホルが愛用していたことでも知られるポラロイド社の名機、SX-70をオーバーホールし、カラフルなベロアや塗装でサカイらしいアレンジを加えたコラボモデル。「sacaiもPOLAROIDも好きだったので迷わず買いました」
Ssupremeのディレクターズチェア
椅子が快適すぎるとずっと仕事をしてしまうという理由から、あえて長時間座るには心許ない椅子を仕事場のデスクで使用しているという真鍋さん。「本当は丸椅子でも良いくらいなんですけどね(笑)。Supremeは高校生のころから好きで着ていますが、ミニマルなデザインが多く、古くならないところが良いですね」
Goods
真鍋大度氏が選ぶyuhakuのアイテム氏が選ぶyuhakuのアイテム
今回、真鍋さんに選んでいただき贈らせてもらったのが、牛革にインクジェットプリントを使用し、職人による手染めを忠実に再現した撥水レザーのポーチ&エコバッグ(YPF590)と、手染めによる美しい色彩のグラデーションを施したクロコダイル革を採用したApple Watch用ベルト(YFA500/501)だ。
「普段色のあるものを身に着けない自分にとって、グラデーションは新鮮。エコバッグ用のポーチなのですが、丁度良いサイズだったので、普段は領収書入れとして使っています。ベルトは、黒いApple Watchにとてもマッチしますし、今まで使っていた純正のラバー系のものと比べて、綺麗に光を反射してくれるところが素敵だと思います」
YPF590 ポーチ&エコバッグ
商品番号:YPF590商品ページはこちらから
YFA500/501 Apple Watch用クロコダイルベルト
商品番号:YFA500
カラー:Gray商品ページはこちらから
Profile
真鍋大度
東京を拠点に活動するアーティスト、インタラクションデザイナー、プログラマ、DJ。2006年Rhizomatiks 設立、2015年よりRhizomatiksの中でもR&D的要素の強いプロジェクトを行うRhizomatiks Researchを石橋素氏と共同主宰。身近な現象や素材を異なる目線で捉え直し、組み合わせることで作品を制作。高解像度、高臨場感といったリッチな表現を目指すのでなく、注意深く観察することにより発見できる現象、身体、プログラミング、コンピュータそのものが持つ本質的な面白さや、アナログとデジタル、リアルとバーチャルの関係性、境界線に着目し、デザイン、アート、エンターテイメントの領域で活動している。
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