Crew Editor / Fashion creative director. Sayumi Gunji
- ファッション
Sayumi Gunji
保存
あんこマニアなので、歩くあんこマニアでもいいかな(笑)
Profile
軍地彩弓(ぐんじ・さゆみ)
大学在学中からリクルートで制作の勉強をする傍ら、講談社の「Checkmate」でライターのキャリアをスタート。卒業後に講談社の「ViVi」編集部で、フリーライターとして活動。その後、雑誌「GLAMOROUS」の立ち上げに尽力する。2008年には現コンデナスト・ジャパンに入社し、クリエイティブ・ディレクターとして「VOGUE GIRL」を創刊。2014年には、自身の会社である株式会社gumi-gumiを設立。現在は雑誌「Num?ro TOKYO」のエディトリアルディレクターから、Netflixドラマ「Followers」のファッションスーパーバイザー、企業のコンサルティング、情報番組のコメンテーター等幅広く活躍。
https://www.gumi-gumi.tokyo
Photography By Kazunobu Yamada
Direction By PROJECT ONE
Interview
軍地彩弓 / ファッション・クリエイティブ・ディレクター
パーソナル質問
学生時代、何か部活されていましたか?
中学はテニス部で、高校は帰宅部でしたね。あとは、小学校の頃は壁新聞を作る新聞係、中学校はテニス部、集会部、放送部でした。集会部や放送部は今やっていることと変わりないですね。その頃から裏方の仕事が好きでした。大学の時は、ジャーナリズム研究会に所属してミニコミ誌を作っていました。
休日の好きな過ごし方を教えてください。
散歩ですね。散歩しながら、あんことパンを追いかけています(笑)。お散歩しながら新しいお店を見るのも好きですね。最近の発見は代々木八幡の台湾料理店「押競満寿」。おいしいんですよ。家から代々木公園の外周1周して家帰るとだいたい1万歩ぐらいで、その間ジェーン・スーさんのポッドキャストを聴きながら歩いています。内容がお腹を抱えるくらい面白くて、ニヤニヤしながら歩いてますね。
好きなモノコト、趣味などありましたら教えてください。
私は趣味が仕事みたいなところがありますが、今ハマっているのは歌舞伎です。歌舞伎部を友達と作って、好きな役者さんを追いかける。この間は名古屋まで遠征しました。
愛読本があれば教えてください。
最近読んでここ一番!というくらいよかったのは、平野啓一郎さんの『本心』。亡くなったお母さんとバーチャル空間で再会するっていう話なんです。自分も1年半前に母親が亡くなったので気持ちがシンクロして、号泣しながら読みました。そのほか、ずっと繰り返し読んでいるのはスコット・フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァー、要は村上春樹さんが訳した本すべてが好き。ハルキストなので。
好きな音楽を教えてください。
音楽はもう、すごい浮気性。年がら年中あれこれ浮気をしているんですけど、今好きなのはミレニアムパレードと藤井 風。1回ハマるとそればかり1ヶ月くらい聴いちゃいますね。あとはオペラもジャズもオルタナも、ユーミンも好きだし…ヒップホップ以外は全部かな。
好きな映画を教えてください。
『パリ、テキサス』や『ベルリン・天使の詩』。ヴィム・ヴェンダースが好きですね。けっこう監督で観るタイプです。エリック・ロメールにフランソワ・オゾンに……もちろんゴダールも好きだし、トリュフォーも好きです。映画といえば、昔渋谷で観た映画は自分のなかにすごく残っていますね。)Bunkamuraのル・シネマでやっていたフランスのものや、『バッファロー’66』とかPARCO劇場で上映していたものなんか。渋谷で観たものが今、ぜんぶ自分の血となり肉となっています。そういう意味ではすごく、映画は渋谷で観て育ったって感じ。渋谷の単館系で育ちましたね。20年くらい渋谷区に住んでいますし、音楽も本も渋谷で吸収したものばかり。血中の“渋谷濃度”がすごく高いです。
軍地さんが大切にしている言葉があれば教えてください。
人に優しく。とにかくそれが基本ですね。
目標にしている《人》または、憧れている《人》がいたら教えてください。
日本人で初めての国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子さん。優しいだけじゃなくて、強さがあって人を守ることができる方なんですよね。人に優しくだけでは人を救えないから、どうやったら人を救えるのか、自分なりに思うことがたくさんあって。雑誌も、読んだ人が幸せになればいいなと思って作っていますし。強さと優しさを併せもった女性という意味では緒方さんに憧れていますね。
軍地さんらしさとは、どんなところですか?
自分ではなかなかわかりにくいことですが、ミーハーなところかな。Twitterのプロフィール欄にもミーハーな編集者って書いています。もう10年くらいそのままなんですが、そこから全然変わっていないというか、まんまだなって。編集者の性なのか、面白いことに対して貪欲ですね。何にでも首を突っ込みたくなる。そこで何が起きているのか知りたくなるし、見に行きたくなる。日々を楽しむミーハーな心っていうのは、自分の本質的な部分かなと。「キャッキャしてる」って友達によく言われます(笑)。
軍地さんのイメージカラー。何色が好きですか?
浅葱が好きです。昔の日本の色の名前で、薄いブルー。すごく澄んだ、水の色みたいな感じ。自宅のインテリアも気がついたらブルーのものが多くなっていて。今のマンションから富士山が見えるので、よく写真に撮っているのですが、その色にも似てるかな。富士山カラー 。
何か自慢できることがあれば、些細なことでも結構です。ぜひ教えてください。
料理。ちゃちゃっと短時間でたくさん作って友達のお腹を満たすのが得意。料理が早くてうまい、これだけは自慢できるかな。最近は周りの皆が焼きそばを美味しいって言ってくれます。
今チャレンジしている事、チャレンジしたい事はありますか?
日々毎日がチャレンジ。
あと、見えない世界をなんとか“見える世界”にしたいと思っています。バーチャル世界でファッションをどう売るかっていうことだとか、アバターファッションに関わるような仕事をけっこうしていますね。つまり、フィジカルに見えていない世界のなかでどうファッションを売るか、ということ。バーチャルの専門家ではないし、デジタル系の人間でもないんですが、世界がこれから二分されてリアルとバーチャルが半々になった時に、それでも人はファッションを愛するということを証明したいと思っています。これからファッションの意義がマトリックスみたいなことになるというか、人間が倉庫みたいなところに横たわって、バーチャルだけが広がる……みたいな世界にならないとは言い切れないですよね。でも、その時にちゃんとファッションの意味を保持させられるか、ファッションがそこで自由になれるかということに今仕事で取り組んでいます。
今のお仕事に就いた動機/理由は何ですか?
先にお話した壁新聞係は、この仕事をしている動機に結び付いていますね。壁新聞係出身の編集者ってすごく多いんですよ。自分が面白いと思ったことを誰かに伝えたいから、その頃はデジタルもないので紙に書いて壁に貼っていたという。人に何かを伝える仕事がやりたかったんですけど、子供の頃はそれがどういう職業なのか分からなくて。高校の時に先生に「それはマスコミだ」って教えてもらいました。そうしてマスコミは狭き門だと知ったのですが、大学の時からマスコミっぽいことに関わりたくてジャーナリズム研究会に入ったんです。
職歴を教えてくだい。
大学のサークルでミニコミ誌を作っていて、そのつながりで大学2年生から講談社の男性誌『Checkmate』で仕事をし始めました。それがきっかけで講談社の女性誌『ViVi』で働くようになって……と、私の進路は“わらしべ長者”式なんです。ちゃんと就職をしていないんですが、基本としては“人にものを伝えることをやりたい”ということだけ続けていたら今に至る、という感じですね。
ターニングポイントがあれば教えてくさい。(それにより、心境がどう変化し、どうなりましたか?)
大きく2回ありますね。なりゆきで『ViVi』に入ってずっと仕事をしていて、そこから『GLAMOROUS』という雑誌を自分たちでイチから作ったというのがひとつめ。ふたつめはそこでの仕事が認められて外資系の出版社、コンデナスト・ジャパンに入ったことですね。海外の『Glamour』の日本版の編集長に、とヘッドハントされました。ずっと日本の雑誌に携わっていたのが、いきなりインターナショナル誌の編集長になるとういことで、一気に世界が広がりました。(後にこの仕事はリーマンショックの影響でキャンセルに。)
10代の夢(理想・目標)を教えてください。
本が大好きだったんですよ。一生本にまみれて生きるのが夢でした。高校生の頃は図書館の司書を目指していましたね。
今の夢(理想・目標)を教えてください。
ファッションの価値を落とさないこと。日本の美意識やものづくりを絶えさせないために、どういう仕組みを作ればいいかということを経産省やその他の文脈でやっています。ファッションに関わる業種……織り屋さんとか縫製工場とか、日本にはすごい技術をもっているところがあるのですが、そのほとんどが、後継者の問題で永続的に仕事ができるか怪しくなっている。それをちゃんと次の世代に繋げなければというのが今の夢、野望ですね。
軍地さんにとって渋谷とはどんな場所ですか?
私の血と肉。
ずいぶん変わりましたが、渋谷ってカルチャーの泉だったんです。私は’80年代から渋谷を知っていますが、当時はタワレコがあってPARCO劇場があってパルコブックセンターがあって……と、あらゆるカルチャーの坩堝でしたね。
街を回って本やレコードを見て映画を観て帰る。そんなことが自分の心を満たしてくれるゴールデンコースだったんですけど。それは他のエリアでは成り立たなかった。絶対に渋谷でしたね。今はそういうカルチャーに関わることをほぼネットで済ませてしまえる時代ですが、ネットだと本当に心を満たすものは見つかりにくいんですよ。サブスクばかりだと、そこにあるものだけが自分のリーチできる範囲になっちゃう。サブスクで出合えない範囲にも、おもしろいもの・ことってたくさんあるんです。
文化の発信地だった頃の渋谷で観て、聴いて培われた自分の血や肉は失われない。そういう意味ではすごく恵まれた時代だったなと。ああいう勢いを渋谷に呼び戻したいですね。
渋谷(区)に、どんな街であってほしいと思いますか?
渋谷、原宿を含めてクリエイターの聖地であるべき。もっと個人が輝く場所に立ち返ることができるといいですね。
渋谷で、「こんな楽しいことしたい」というアイデアお願いします。
この間MIYASHITA PARKで開催していた渋谷夜市みたいな、ああいうクリエイターの“広場”をもっと広げたいですね。モロッコのマラケシュにフナ広場っていうところがあるんですけど、マーケットがあったり怪しい手品師や蛇使いがいたり、羊の脳みそを売っていたりして。そういう怪しさと面白さがあって、エンターテイメントやものづくりの人たちが坩堝になって楽しめるようなものを渋谷で勃発させたいですね。“怪しさ”ってカルチャーにとって大事なことだと思うんです。今渋谷は、“怪しさ”が排除されていっていますよね。怪しい路地や暗い小道がなくなって、クリーンになっちゃった。昔は円山町に近寄れなかったりとか、恋文横丁があったりとか、なんだか得体のしれない怪しいところがたくさんあって、そういう場所からストリートカルチャーが生まれていたわけです。竹の子族なんていうのもあったしね。そういう素っ頓狂なことが昔は渋谷(区)から生まれていたから、それが世界から見ても「渋谷すごい」「原宿すごい」と言われて、それがひとつのブランドのようにもなっていたんだけど。今は個人の店がつくる雑多さみたいなものがどんどん消えていますよね。
渋谷でデートするなら。
デートプランをお願いします。
ひとつの場所に行くというより、いろいろ歩いて面白い街っていうほうが最近は好きですね。例えば、代々木上原から代々木八幡に向かって、代々木公園周辺のおいしい店を回ったりとかっていうのが自分の今のゴールデンコースですね。公園、神社、商店街を巡るデートプラン。昔はちょっと特別な場所とかおしゃれなレストランなんかに行っていたけど、もっと日常的に時間と空間を楽しめるひとときのほうが愛おしいですね。
Style
コーデポイント ・着用アイテム
コーデポイントは、穴開きのニット。スタイリストの友人、白幡 啓さんが手がけるstylingのニットです。私は50代ですが、これくらいの年代が着るのにちょうどいいカジュアルな服を作っているブランドで。今季はこの穴開きニットがすごく着たかったんです。シャツはユニクロの+J、プリーツスカートはHYKEです。穴開きのニットをちょっとベスト風にしたのがポイントですね。アクセサリーも友達のブランドのもの。エネイ(ENEY)っていうエシカルなブランドです。バッグも友達がやっているTENEOっていうブランドのもの。すごく上質なレザーと金具を使っていて、作っている人の気持ちがいいブランドなんです。
軍地さんにとってファッションとはどういう存在ですか?
大きな質問ですね(笑)。生活の全てです。生きるすべてでもあるし、日々の気分を変えてくれるものでもある。自分のテンションをあげてくれることもあれば、落ち着かせてくれることもある。その時その時の気持ちに寄り添ってくれるものですね。この間、久々にホテルで友達の誕生日会をやった時は、めいっぱいおしゃれしましたね。こういう時は、半分コスプレみたいな感覚なんです。散歩する時もそうですね。アスリートやウォーキングをする人のコスプレ。形から入るタイプなんです。
軍地彩弓さんのレコメンショップ…
カタネベーカリー(代々木上原)のご紹介はこちら
ぜひご覧ください^^
保存
Crew TAGS
保存