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展示作品『藪IN』 折坂悠太による初の展示作品『藪IN』

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展示作品『藪IN』 (折坂悠太による初の展示作品『藪IN』)

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折坂悠太による初の展示作品『藪IN』レポート


折坂悠太による初の展示作品『藪IN』が、PARCO MUSEUM TOKYOで開催中

「藪の中に身を置くことで見える、変化のグラデーションを楽しんでほしい」

Text By  Yukiko Takeda
Photo By Sakai De Jun

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2018年にアルバム『平成』、2021年『心理』をリリースしたシンガーソングライター折坂悠太による初の展示作品『藪IN』がPARCO MUSEUM TOKYO(渋谷)にて、5月30日(月)まで開催中だ。

今回の展示の着想になったのは、折坂自身が書き下ろした短編小説「藪IN」。“藪”をテーマに構成された会場は、5つのスペースから成る。

入ってすぐの「オーディオルーム」では、折坂の最新アルバム『心理』と昨年開催されたツアーのライブ音源を360リアリティオーディオ版としてミックス/マスタリングしたものが3壁面から体験できるスペースになっている。

©️Sakai De Jun

さらに進むと、直筆のステートメントが記された壁が現れる。奥が鏡になっており、自分の姿とステートメントを重ねながら読み進める。(記されている文章は、下記のステートメントを参照)

©️Sakai De Jun

「映像」のスペースでは、写真家・塩田正幸氏による映像作品が投影されている。千葉・館山の山中にて撮影された映像には、海と山が近い個性的な立地ならでは植物が生い茂っている。藪に分け入っていく折坂の姿を追う映像は、まるで一つの物語を見ているようだ。草木をかき分ける音と鼻歌がまわりを包み込むように鳴り響く。

©️Sakai De Jun

さらに進み、通路の突き当たりには、折坂自身が製作したちぎり絵「ウリボ」を展示。『藪IN』に収録している作品『ウリボ』のモデルがこれにあたる。

一番奥にあるのが「藪スペース」。月桃雨の田中菜穂子による藪のインスタレーション空間に、塩田正幸による環境映像、折坂悠太による環境音楽が流れている。一角にある木で組まれたやぐらの下で、折坂による実験的なパフォーマンスが不定期で行われるという。

©️Sakai De Jun

取材当日も折坂によるフォーマンスが行われた。芳しい草木の中に身を預けていると、生き物のいびきのような音や鼻歌が鳴り響き始める。空間に満ちていく音のレイヤーがいくつも重なった後、「バス停」という小説が朗読された。

「藪IN」とは、何なのか。大都会・渋谷のど真ん中に現れた藪の中に身を置き、ただ潜んでみる。そこから感じるもの、匂うもの、言葉にできない“何か”をただ受け入れてみてほしい。無理に咀嚼したり言葉にする必要はなく、ただ感じたものを受け取る。それは折坂が常に訴えて続けている、わかりやすい言葉や共感ではない、個々の微細な心の動きや揺れのようなものにも近い。

©️Sakai De Jun

パフォーマンスの最後に折坂はこう締めくくった。

「自分でもこの展示が何を意味するのか分かっていません。カメラやマイクが向いている中で話すと、うまく言おう、削ぎ落とそうとしてしまい、体から離れていってしまうものがある。展示だからと、説明的な言葉が求められるかもしれませんが、あえてそれはしないでおこうと思います。この藪も、私も、外の世界も変わっていくと思います。そのグラデーションを楽しんでもらえたらと思います」

©️Sakai De Jun

会期中は、形態が日々変化し、折坂自身も不定期でパフォーマンスを行う予定だ。

会場では、今回の展覧会の着想ともなった短編小説「薮IN」を含む、書き下ろした初の著書『薮IN』も先行発売。またTシャツ、湯呑み、ステッカーなどの展覧会記念商品も販売されるのでお見逃しなく。

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〈折坂悠太ステートメント〉

そのものらしさでなく、そのもの自体を見てみたかったんです。

薮の中へ投げ入れて、この身体も押入れて。出会い直そうとしたんです。

するとどうでしょう。どうしても見たくない、自覚したくないものまで確認でき、ひどい口内炎ができました。甘かったと思いました。

皆さんをそこへ連れて行ってどうなるか。何があるのか、何もないのか、わからないんです。

いろんな人の顔を想像しています。穏やかな顔ばかりではありません。

進もうとすることと、逃げようとすることは、とてもよく似ているんですから。

ただ私は、薮に入って、そこに居てみます。人生に必要な過程だと思ってしまったからです。そういう勘はあります。

ここへ来るまでの、たくさんの力添えに感謝します。

よければこの薮に、分け入ってみてください。

折坂悠太

profile

鳥取生まれ、千葉県出身のシンガーソングライター。

平成元年生まれの折坂ならではの極私的な感性で時代を切り取りリリースされた前作『平成』は、2018年を代表する作品として、CDショップ大賞を受賞するなど、高い評価を受ける。

2019年には上野樹里主演、フジテレビ系月曜9時枠ドラマ『監察医 朝顔』主題歌に「朝顔」が抜擢され、2020年同ドラマのシーズン2の主題歌続投も行い、今年3月にはミニアルバム『朝顔』をリリースした。また、佐藤快磨監督、仲野太賀主演の映画『泣く子はいねぇが』では自身初の映画主題歌・劇伴音楽も担当するほか、サントリー天然水、サントリー角ウイスキーのTV CMソングを担当するなど活躍の幅を広げている。

2021年10月には、3年ぶりとなる新作アルバム『心理』をリリースし、全国8都市9会場を回る初のホールツアーを成功させた。2022年5月13日には初の展覧会「薮IN」をPARCO MUSEUM TOKYOで開催し、初の同名著書作品『薮IN』を刊行する。

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〈イベント概要〉

タイトル :折坂悠太展「薮IN」

会場 :PARCO MUSEUM TOKYO(渋谷PARCO 4F)

東京都渋谷区宇田川町15-1  tel:03-6455-2697

会期 :2022年5月13日(金)〜 5月30日(月) 11:00-20:00   

※入場は閉場の30分前まで ※最終日18時閉場 ※営業日時は感染症拡大防止の観点から変更となる場合がございます

入場料 :一般 800円(税込)/小学生以下無料

公式HP:https://art.parco.jp/

主催:PARCO/企画制作:PARCO、高宮 啓(Moderーn)/技術協力:ソニー株式会社、山麓丸スタジオ/会場構成:HYOTA/宣伝デザイン:鈴木 聖

〈書籍概要〉

タイトル:薮IN

著者:折坂悠太

価格:2500円(税込)

仕様:200ページ/110×160mm/並製本

編集:高宮 啓

デザイン:鈴木 聖

出版元:REPOR / TAGE

一般販売日:2022年6月1日

短編小説「薮IN」を始め、エッセイ、論考、対話など様々なスタイルの文章を折坂悠太が書き下ろした初の著書。ゲスト作家として塩田正幸(写真家)、坂口恭平(建築家、作家、音楽家、画家)、イ・ラン(音楽家、作家、イラストレーター)も参加するオムニバスブック。

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