Crew Art director / Artist Rika Eguchi
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Rika Eguchi
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アートディレクター / アーティストしています(後編)
INTERVIEW
何故、トップクリエーターになれたのか?
Photography By Masato Sawada
Direction By PROJECT ONE
Tie-Up with yuhaku
アートディレクター / アーティスト
えぐり りか氏
プロの仕事術 と 日々の愛用品 /
後編
感想を細かくメモし、
いろんな人の思考パターンを蓄積
相手の望むものを的確に見極め、それを形にしていくのはえぐちさんの得意分野。大学時代は、それでいくつものコンペを勝ち抜いてきた。しかし気になるのは、なぜそういったアイデアが次々と湧いてくるのか、というところ。それはえぐちさんの仕事術にも通じる、ある心がけが理由だった。
「昔から自分が作った作品を先生や先輩、友人や家族にも見せて、感想を細かくメモするようにしてきたんです。そこには自分では考えつかないようなヒントが隠れていて、それらを掛け合わせることで新しいアイデアを閃いたり、壁にぶつかったときにも客観的に見ることができて解決策を見つけたりすることができます。
そうやって、いろんな人の思考パターンを蓄積したことで、自分のアイデアに色んな角度から突っ込みを入れる癖がつきました。多角的にものを見る癖をつけたことは、広告の仕事にも繋がる訓練になっていたんだと思います」
3年目まで続いた負のスパイラル それを救ってくれた出来事とは?
そうして見事、希望の広告代理店に入社したえぐちさんだったが、毎日朝方まで企画を考えてもボツ続きで、3年間も報われない日々が続いたという。そんな彼女を負のスパイラルから救ったのは、“辞めたつもりで、働いてみたら?”という助言だったという。
「当時は新人なので色んな先輩の仕事の手伝いをしながら仕事のいろはを学んでいくのが当然です。でも自分がオールマイティーなタイプではなかったことと、頑張っても空回りすることが続いて、ストレスから体調も崩しがちでした。この仕事は向いてないんだと思って、会社を辞めることを考えていました。そんな矢先に、どうせやめるなら、一度会社を辞めたつもりで、辞めさせられるまでわがままにやってみたら?というアドバイスをもらって。そこで、ワガママを承知でそれまでの仕事からは外してもらったんです」。
辞めたつもりで働くとは、自分の仕事に集中する環境を、多少強引にでも作り出すことだった。それで結果を出せず、会社から辞めろと言われるのであれば素直に受け入れる覚悟が必要だったが、これが功を奏した。そうして初めてアートディレクターとして世に出たのが、サントリーの環境広告『なっちゃんがボスになった』。これをきっかけに徐々に仕事が増え、現在のようにえぐちさんを指名して直接仕事を依頼されるようになっていったのだという。
その気にさせるコミュニケーションで
想像を超えるクリエイションを生み出す
それ以来、最前線で広告を作り続けているえぐちさん。そんな彼女が仕事をする上で大切にしていることとは。
「クライアントの要望はもちろん叶えなければなりませんが、その方法に正解が一つではないのが広告の面白いところ。ワクワクするような新しい正解を導き出すために必要なのは、クライアントから製作チームまで、みんなが同じ方向を向くようにすることです。そのために大切なのは、いかにチャレンジしたいと思えるものを提案できるか。そのために私は、クライアントへのプレゼンの時から、なるべく完成が想像できるところまでブラッシュアップして提案するようにしています。それを全員が実際に見てみたいと思ったとき、化学変化が起こって、良い物ができあがると思っています」。
また、外部に仕事を頼むときにも、ただ発注するのではなく、自分の持てる知識を総動員して提案するという。
「コレを作って下さいと丸投げするのではなく、悩んでいる箇所を話し合って作り方を考えたり、無理ならアイデアを変更し、柔軟に一緒にいいものを作ろうとする姿勢が大事かなと思っています。そうやって作り手としてチャレンジを共有することで、今までになかったものや面白いものが生まれると思っています」。
小さい頃から何でも作ってきたえぐちさんらしい仕事術だといえるだろう。「出来ない、ダメと言われたら、新しいものを生み出すチャンスです!」とえぐちさんは微笑む。そうやって、自らの経験を生かしながら様々な広告を作り続けてきた彼女だが、広告業界は奥が深く、まだまだ“やりきっていない”という。
「よく独立しないのと聞かれるのですが、会社員として安定した対価をいただきながら、好きな仕事に没頭できる今は、とても良い環境なんです。いつか広告をやりきったと思えるときがくるまで、まだまだ全力で走り続けていきたいですね」。
Profile
えぐちりか氏
北海道帯広市生まれ。多摩美術大学大学院工芸科ガラス専攻卒業。在学中からガラスで制作した、生たまごそっくりのインスタレーション「バーンブルックのたまご」を生み出し、アーティストとして活躍。卒業後は電通に就職し、アートディレクターとして広告、アート、絵本、プロダクトなど様々な分野でその才能を発揮。主な仕事に、ARASHI EXHIBITION “JOURNEY”、Softbank、ORBIS DEFENCERA、PEACH JOHN、PARCO、LaforetのグラフィックやCM、CHARA、木村カエラ等のアートワークなど。イギリスD&AD金賞、スパイクスアジア金賞銀賞、JAGDA新人賞、グッドデザイン賞、キッズデザイン賞、グラフィックアート
ひとつぼ展グランプリ、岡本太郎現代芸術大賞優秀賞、他。青山学院大学総合文化政策学部えぐちりかラボ非常勤教員。
https://eguchirika.com
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