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寺田燿児 SFファンタジー漫画が発売

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寺田燿児 (SFファンタジー漫画が発売)

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-前編- 寺田燿児によるSFファンタジー漫画『TORA TORA TORA TORA』が発売





寺田燿児によるSFファンタジー漫画『TORA TORA TORA TORA』が発売

「時代が変わっていくからこそ、残さなきゃいけないものがある。」

前編

Interview By Hajime Oishi
Photography By Sachie Abiko
Edit By Yukiko Takeda

寺田燿児 
広島県生まれ。yoji&his ghost bandの名でCD『My Labyrinth』(’14)『ANGRY KID 2116』(’16)を発表。角銅真実のサポート、折坂悠太(合奏)メンバーとしてFUJIROCK FES’18などに出演。’19 に中編漫画『DARK CONTINENT』を東南西北kikenよりリリース。街の中華を巡る「中華満腹見聞録」、オ ンラインストア「空論雑貨店」を運営。’22に2作目となる長編漫画『TORA TORA TORA TORA』を発表す る。鼻のほくろがかわいい愛猫・朔太郎と古いビル暮らし、趣味は街の中華屋巡りと人間観察、特技は餅つき


音楽家で漫画家の寺田燿児が、2年をかけて描き上げた一冊の漫画『TORA TORA TORA TORA』が8月にリリースされた。渋谷からほど近いシェアオフィス兼ギャラリー、みどり荘中目黒で8月12日(金)から漫画の原画展が開催される。原画展開催の直前、みどり荘で展示準備中の寺田にインタビュー。

音楽から漫画へ、表現活動をシフトした心境の変化とは。戦争に疫病、厳しい現代社会に生きる私たちへ投げかけたいその思いを語ってもらった。

──寺田燿児さん(以降 燿児さん)というとyoji & his ghost bandとしての音楽活動のほか、折坂悠太さんや角銅真実さんのサポートなどで知られていますが、漫画を描き始めたきっかけは何だったのでしょうか。

絵自体は子供のころから描いてたんですよ。それで京都の芸術系の大学に進み、映像やアニメーションを学びました。音楽も中学生のころから好きで。大学で音楽活動を始め、33歳で東京に来ました。yoji & his ghost bandのアルバムジャケットも自分で描いていて、ジャケや歌詞を含めてひとつの世界を作るということに関心があったんです。

──大学時代はいずれアニメーションの世界に進もうと考えていたんですか。

最初はアニメーションも実写もやる映像作家をめざしてたんですけど、映像って表現手段として結構大変なんですよね。映画館や劇場に足を運んでもらって、30分なり1時間作品を観てもらって初めて伝わる。でも、音楽は掃除しながらでも聞けるし、人に伝えやすいので、音楽をやろうと。

──じゃあ、これまでは音楽が常に自分の表現の軸となってきた?

そうですね……今は違いますけど。

──そうなんですか?

今は音楽をやってないんです。あまり聞いてもいないし。ライヴの後、体調が悪くなったり、しんどさを感じるようになってきて。人前に立つことにストレスを感じていることに気づいて、音楽活動をやめました。もちろん今後、戻ることもあると思いますけど。

ZINEという形態にこだわる理由。手に取った人が面白さを伝える、愛のある届け方

──2019年には初の漫画作品『DARK CONTINENT』が発売されます。あの作品を描くことになったきっかけは何だったのでしょうか。

代々木会館っていうビルが代々木駅の近くにあって。ドラマ『傷だらけの天使』のロケ地で、中に中国書専門のお店が入ってたんですね。そこに行ったときにイメージが湧いてきたんですよ。

──じゃあ、最初は衝動的に描き始めた?

そうですね。最初は本当に遊びで描き始めました。結末も考えていなくて、何とかつじつまを合わせながら描いていった感じで。

あと、描いたものをSNSにあげていたんですけど、わりと反響があって。それを見た大阪の東南西北kikenというチームが声をかけてくれたんですね。本にしませんか、と。もともとひとつのストーリーを描いてみたかったし、何か形にしたかった。それで本になったという感じです。

──『DARK CONTINENT』はニュートンコツ島という独裁都市が舞台になっていますが、これはニューヨークがモデルになっているんでしょうか。

そうですね。ニューヨークには今までに2回行ったことがあるんですけど、自分の美意識を形成する要素のひとつになっていると思います。100年物の建築がバンバン建っていて、それでいて最新のものがあって、そういったものが同居しつつ、さまざまな人種がいてさまざまなエリアがある。そういうところに魅力を感じます。

──出してみて、反響はどうでした?

書籍関係の知り合いができました。それまで音楽の知り合いばっかりだったので、新鮮でしたね。

──出版社を通じた一般流通の書籍ではなく、ZINEという形態で世に出たわけですが、ZINEというメディアの可能性を感じたところもありましたか?

大手の流通会社にお願いすると宣伝力はあると思うんですよ。でも、CDと一緒で売れなきゃ店頭から下げられるわけですよね。それよりは実際手に取ってくれた人が『うちの書店にも置きませんか』といってくれて、それを自分の店で販売し、お客さんに直接おもしろさを説明してくれる。そういう届け方のほうが愛があっていいかな。売れなきゃ店頭から下ろされるみたいなことはCDでもう勘弁って思ったんです。

──なるほどね。

それだったらもう別に全国にすぐ行き渡らなくていいんで、ちょっとずつ広まっていったらいいかなって。

──2019年10月には、街中華のスケッチを綴る「中華満腹見聞録」と題したアカウントをInstagramで立ち上げます。

もともと街歩きや古い建物が好きなんですけど、ある街を歩いてきたときにすごくいい感じの中華料理屋があって。その日は閉まってたんですけど、調べてみたら閉業されていたんですね。こういうことがいたるところで起きてるんじゃないかと思って。消費税も10%になるところでしたし、店主も高齢化していくし、ちょっとこれはいろいろ回りたいなと思ったんです。

──ここ数年、東京のあらゆる場所で再開発が進んで、街の記憶がどんどん消し去られていますよね。渋谷なんて10年前にどんな風景が広がっていたのかわからないぐらい別の街になってしまった。そういう状況に対する燿児さんの抵抗活動だと感じました。

その通りです。草の根運動。あれを見て興味持ってくれる人がいたら嬉しいし、それが店の助けになったらいいなと思って。時代が変わっていくからこそ残さなきゃいけないものってあると思うんですよ。


後編はこちら


【漫画情報】

『TORA TORA TORA TORA』

ページ数/140P  定価/ ¥2000(税別) 発売元/東南西北kiken 日本語(英訳付き)

〈あらすじ 〉舞台は少子化が進んだ近未来。最新科学は人工知能を動物に移植する手術に成功した。主人公の少年ヤンは 科学者である祖母マリから鍵しっぽの猫TORAを譲り受けるも、長期化する戦争と動物徴兵のため悲しい別れを余儀な くされる。時を経て青年となり、国防総省で兵器デザインの仕事に就きながら未だTORAの行方を心配するヤンは、同 僚の報せによりTORAが脱走していたことを知る。技術者としての軍事への加担と、無謀で破滅的な計画に対する疑念 を抱きながら、動物解放運動を行う活動家ウー・ジョンと出会い、秘密の呪文の記憶を辿って祖母の家に向かう。

空論雑貨店
https://9dragon.stores.jp

【原画展情報】

東京: 
8/12(金)~8/21(日)13:00~20:00 
MIDORI.so NAKAMEGURO(東京都目黒区青葉台3-3-11)   
https://midori.so/midoriso_nakameguro

大阪:
10/8(土)~10/23(日)13:00~19:00(18:00)  
FOLK old book store (大阪市中央区平野町1-2-1)

https://www.folkbookstore.com




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