Crew TOKYO DANCE MUSIC WEEK / B.P.M. Syndicate
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TOKYO DANCE MUSIC WEEK / B.P.M. Syndicate
渋谷カルチャーの明日
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《後編》
カルチャーの明日をつくるために
《後編》
ー特集ー
2021年、渋谷カルチャーの明日
こんな時だからこそ、音楽やファッションなど、カルチャーのエネルギー、ワクワクを届けたい。 コロナ禍でもアクションを起こす人たちがいま見据える未来図とは?
撮影の直前にマスクを外してもらっています。
【鼎談】
Naz Chris × Watusi ×
近田春夫 × 小泉今日子
《後編》
カルチャーの明日をつくるために
毎年9月9日の週に開催されるダンスミュージックの祭典「TOKYO DANCE MUSIC WEEK」(以下、TDMW)。コロナ禍でも “文化を止めない”、“音楽を止めない”という思いを掲げ2年目の開催を迎えるにあたり、Naz Chrisさん、Watusiさん、また公式連動イベント「B.P.M Syndicate」を主催する近田春夫さん、小泉今日子さんの4名にお集まりいただいた。
後編となる今回は、文化を創り出すトッププレイヤー達が見据える《渋谷》カルチャーの《明日》について、SCS編集部の野元、天田も飛び入り参加する盛り上がりとなった。
3人が思う、「クラブ」という場所
80〜90年代から東京のクラブカルチャーを楽しんできた近田さん、小泉さん、Watusiさんにとって、クラブとはどういった場所なのか。ふとした疑問を3名にぶつけてみる。
「クラブは、様々な職業、性別、人種、年齢の人が集まる場所です。そして、お気に入りの服を着て、かっこいい音楽に揺られ、時にはお酒の力を借りながら人との出会いを楽しむ場所。昔は怖いこともあったかもしれないらしいけど、私は遭遇したことないかな」(小泉今日子)
「ライブとクラブには明確な違いがあって。ライブは音楽を聴きに行くことが最重要なんですけど、クラブは素晴らしい音楽が鳴っていても、聴く聴かないは自由なんです。
例えるなら、神社でやってるお祭りみたいなもの。境内で太鼓を叩いてたりするじゃないですか。それが聞こえてくるのを身体で楽しむ、みたいな。それで、いろんな人とコミュニケーションをとって、仲良くなる。まぁつまり、出会いの場ですよね」(近田春生)
「社会人になってからの人間 関係って、仕事に関わる人が中心になるじゃないですか。でも運転免許の更新をしに試験場に行ったら、普段絶対に一緒にならないような人と一緒になる。クラブはそれと似ています(笑)。
世代も仕事も環境も全く違う人たちが集まって、すぐに仲良くなれるもんだから、オシャレしたりみんな気合入れてましたよね。ものすごく寛容な場所ですよ。秘密結社みたいな感じ(笑)」(Watusi)
渋谷のカルチャーを《明日》に繋ぐには?
これまでクラブシーンはもちろん様々なカルチャーを発信し続けてきた街・渋谷は、駅前を中心に100年に一度と言われるほどの大規模な再開発が2027年まで続く予定だ。
近年で言えば、渋谷スクランブルスクエアのオープン、渋谷PARCOのリニューアル、宮下公園あらためMIYASHITA PARKのオープンなどがあげられる。
再開発の最中、クラブカルチャーを含めた文化を明日に繋げていくには、渋谷の街はどうすればいいのだろうか?
「昔はサーファー、ギャル、スケーター、チーマー、それぞれの派閥が街のなかにそれぞれのテリトリーのような感覚を持っていて、街を愛していたと思うんです。自分たちで予想外のことが起こると『俺たちの渋谷で何やってんだ!』みたいな。それくらい渋谷を愛する若者がいろんなカルチャーを成していたじゃないですか。そう考えると、今は若者の愛着が少ないと思います。
自分の世代はそうで、遊びに行くだけ、買い物に行くだけ、打ち合わせに行くだけ。そうじゃなくて、ライフワークとして、とりあえず渋谷だよねって言っていたあの時の感じに戻らないといけない。クラブもそうですけど、家賃が日本で1〜2番目に高いところだと思うので、人が集まるチャンスを創っていかないと、プレイヤーたちが愛着を持てない気もします」(Naz Chris)
原宿からきゃりーぱみゅぱみゅのようなスターが誕生したときのような空気感は、おもしろい人が街に集まることで生まれるとNazさん。彼女は小学生の頃、渋谷にいれば近田さんや小泉さんのような有名人に会えるかもしれない! と本気で思い、1日中練り歩いていたというのだから、間違いないはずだ。
「クラブカルチャーって夜のイメージじゃない? 僕ね、朝から昼までぶっ通しでやってるクラブがあっても面白いと思うんです。朝からアフターアワーズみたいにさ、朝8時からやりたいんだよね。前の日よく寝て、遊ぶぞー!!って(笑)。そういうカルチャーを渋谷でつくればいいのにってずっと思ってます」(近田春夫)
このアイデアには、SCS編集部含め一同が大賛成。今はまだ、コロナ禍の収束を祈るしかない状況が続いているが、渋谷の街に人を呼び戻すには十分魅力的な取り組みだ。
「再開発が進んだと言えど、渋谷には多様な老舗があるじゃないですか。ストリップの店だったり、昔ながらの美味い中華屋だったり。70年代のロック喫茶『BYG』だってある。まだまだたくさん、渋谷にしかない場所がたくさんあります」(Watusi)
Watusiさんのこの発言に、小泉さんが閃く。
「そういった歴史あるお店を、アーティストなどのエピソードや思い出と共にめぐるスタンプラリーを創るとか。今は渋谷駅を降りると、空が見えないほど大きなビルが立ち並んでいて、渋谷の街を冒険しようとは思えなくて。ヘンゼルとグレーテルが落としたパン屑みたいに、心をくすぐられるような道標があるといいのかな」(小泉今日子)
このアイディアも、是非実現したい。今日までの歴史と物語を含んだ渋谷カルチャーを追体験できるようなスタンプラリーがあれば、私たちも知らない渋谷の顔を見ることができそうだ。
「ZOOMじゃこうはならない。」とWatusiさん
この日、リアルな場でインタビューをさせていただいたことで、過去にクラブシーンで起こっていたことが、まさに目の前で起こった。
ゲストの何気ないアイデアに共感が集まり、アイデアが飛び交い、何かが起こりそうなワクワクした空気が流れていた。
コロナ禍によって失った、不要だと思っていた時間から生まれる数々のアイディア。クラブのような遊び場は、本当に、今を生きる人たちに必要なものなのかもしれない。
ときには肩の力を抜ける時間を設けてみたり、あえて不便を選んだりすることで発見できることもある。それこそが、カルチャーを《明日》に繋ぐためのヒントになりうるのだ。
そうして、そこで生まれた出会いやアイデアを、小さくてもやってみる。前に進めてみる。
そういう試みを重ね、皆さんと共にSCSも《明日》のカルチャーをつむいでいきたい。
撮影の直前にマスクを外してもらっています。
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