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Tamae Hirokawa

Tamae Hirokawa Fashion Designer

廣川玉枝

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廣川玉枝 (Fashion Designer)

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ファションデザイナーをしています(後編)



INTERVIEW

何故、トップクリエーターになれたのか?


Photography By Yuichiro Nomoto
Text By Ryo Ishii
Direction By PROJECT ONE
Tie-Up Brand yuhaku

ファッションデザイナー 廣川玉枝氏
プロの仕事術 と 日々の愛用品 /

後編

前編はこちらになります。



周りに合わせていては良いものは作れない。21世紀型のデザイナーは未来を見据える。


ブランドとして意義のあるものをクリエイションし、良いものを作ることで還元していく。その方法を模索するようになったことで、既存のファッション業界の旧態的なサイクルに疑問を持つようになったと廣川さんは語る。
 
「ファッション業界って、年中無休で夜遅くまで忙しなく働いているイメージがありますよね。そんなことでは、やっぱり良い物は作れないと思うんです。周りのルーティーンに巻き込まれていては、良いクリエイションはできません。特にSkinシリーズは100年というスパンで見た時に定番になるようなものにしていきたいと思っているので、既存の業界のスタイルにはちょっと合わないのかもしれません。他から見たら毎シーズン同じような表現に見えても、実は細部を進化させながら継続的にデザイン・製作しています。」
 
“今”しか見ないで物を作っていると、時代が変わったときに古くなる。フルマラソンを全速力で走り続けるようなものづくりでは、途中でリタイヤするか、そのまま一生を終えてしまうことになりかねない。そうではなく、何百年も続く老舗のように長く愛される、そんなブランドにしていくのがデザイナーとしての理想だという。
 
「トレンドに追われる必要はないし、昔に比べてシーズン毎に作る服の型数も減りました。ショーだって費用対効果を考えれば毎回やることはないと思っていたので、あるときスパッとやめてみたんです。そうしたら、ショーに掛かっていたお金(これがかなりの金額が掛かるのだ)を無縫製ニットの開発費に回せるようになって、それまでやりたくても出来なかった開発ができるようになりました。」
 
当たり前を疑うということで、より良い循環が生まれた。それは、思っていた以上のプラスとなって還ってきた。
 
「Skinシリーズの変化は見た目に大きく分からないので、毎回同じように見えるから新しいものを見せろと批判を受けたこともありましたけれど、同じ事を10年間アップデートし続けられたことが、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に収蔵されるきっかけにもなったのだろうと思っています。」
 
「とはいえ経営者として、自分が上手く会社を回せているのかといったら自信はないですけどね(笑)」と廣川さんは謙遜するが、現状「ソマルタ」は良いサイクルで回っているように思える。その証拠といってはなんだが、ファッションブランドとしてはかなりゆったりと仕事ができているそうだ。時間的な余裕が生まれたことでクリエイションの源となる“美しいもの”をインプットする時間もしっかりと取れるようになった。
 
「18時以降は時間を自由に使えるようになったので、美味しいものを食べに行ったり美術館に行ったり、友人に誘われた展覧会などにも足を運んでいます。友人はどんなところが面白いと思っているんだろうとか、こんなシーンではこういう服があったらいいかもしれないというような視点で見てみると、デザインをする際のいいインプットになります。それは例え服じゃなくても還元できると思うんです。」
 
そういった柔軟性を発揮できるデザイナーを、廣川さんは21世紀型のデザイナーと表現する。
 
「衣服だけをデザインすることが20世紀型のファッションデザイナーだとすれば、21世紀のファッションデザイナーはジャンルに捕らわれず様々なクリエイションができることが求められるだろうと思っています。実は『ソマルタ』は私たちの会社『SOMA DESIGN』の中のひとつのブランドという位置づけになっていて、これまでにはロボットや車椅子などのデザインも手掛けています。ファッションとは服だけに限らず、“身体に関わるデザイン”と幅広く捉えることができます。他分野とのやり取りには気付きがたくさんあって、とても得るものは大きいです。」
 
さらにコロナ禍を経た今、ブランドの在り方やクリエイションをもう一度ゼロから考えないといけない時期に来ていると廣川さんは感じているという。
 
「特に『ソマルタ』はハレの日に着ていただくような服も多いですから、人が中々集まれない状況下では作るべき服も変わってくるはず。新しい発想のチャンスと捉えてみれば、面白いじゃないですか。」
 
はじめた当初は目の前の事に捕らわれすぎて周りが見えていない事もあったが、あらゆる困難を乗り越えてきた廣川さんは今、広い視野を持ち未来を見据えている。


 Column

日々を彩るプロフェッショナルの愛用品

プロフェッショナルたちが普段持ち歩いている必需品や仕事道具を見せていただきながら、モノに対するこだわりを紐解く。

「これを見ると信じられないかも知れないですけど、以前は服も小物も黒いものばかり身につけていましたし、デザインする『ソマルタ』の服もほとんどが黒だったんです。」
 
それが最近は公私ともに色を取り入れるようになったという。きっかけは、スリランカ旅行。とある世界遺産の寺院に参拝しようとしたときのことだった。
 
「上下黒の服を着ていたのですが、現地のガイドさんに仏教では黒は不吉な色だから着替えてきてくれと言われたんです。スリランカでは参拝の際には白を着るそうで、それを知ってから色にとても興味が湧いてきたんです。」
 
また、それをきっかけに大好きな植物の柄の小物を取り入れるようになったそう。それがこのボタニカル柄のステンレスボトルだ。「これはアントワープで買ったものです。実はこの香水も植物から出るような爽やかな香りが癒されるんですよね。」

植物タンニン鞣しの革に手染めを施した、有機的なyuhakuのアイテムにも共感するところがあるということで、廣川さんに選んでもらい贈らせていただいたのがyuhakuの代表作「Veratula」シリーズの二つ折り財布だ。

「水性の染料を使って手染めをしているからほぼ廃液が出ないと聞いて、環境に配慮されているのもとてもいいと思いました。落ち着きのあるグラデーションも綺麗ですよね。色は身に着けたり見たりすることで、知らず知らずのうちに影響されるものです。今では持ち物やコーディネートには欠かせません。今季の『ソマルタ』も様々な色を取り入れていますので、ぜひご覧ください。」
 
http://www.somarta.jp


Profile

SOMA DESIGN クリエイティブディレクター/デザイナー

廣川 玉枝 / Tamae Hirokawa


2006年「SOMA DESIGN」を設立。同時にブランド「SOMARTA」を立ち上げ東京コレクションに参加。第25回毎日ファッション大賞新人賞・資生堂奨励賞受賞。単独個展「廣川玉枝展 身体の系譜」の他Canon[NEOREAL]展/ TOYOTA [iQ×SOMARTA MICROCOSMOS]展/ YAMAHA MOTOR DESIGN [02Gen-Taurs]など企業コラボレーション作品を多数手がける。
2017年SOMARTAのシグニチャーアイテム”Skin Series”がMoMAに収蔵され話題を呼ぶ。2018年WIRED Audi INNOVATION AWARDを受賞。


Goods

廣川 玉枝氏が選ぶyuhakuのアイテム

Veratula 二つ折り財布

商品番号:YVE130
カラー:Blue

商品ページはこちらから

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